たかが海藻、されど海藻
都市エリア事業をひとつのきっかけとして、海藻の魅力を再発見したわたしたちは、商品化のイメージが具体性を帯びてきました。
それは、海藻の持つ特長を引き出し、素材の良さを最大限に引き出すということ…言い換えるならば、函館の海藻の魅力を発信すること。長年海藻にかかわってきたわたしたちは、こうしたテーマに対して、どのようにアプローチすればよいのか、真剣に考えました。
何も足さない、何も引かない…素材の特長に正直であること。 これがわたしたちの得た答えでした。
例として、ガゴメには、フコイダン以外にもいろいろな成分が含まれています。成分だけを抽出して使ってしまうのはもったいない…ガゴメの魅力をまるごと味わっていただきたいと考え、食材として、用途を限定するのではなく、あらゆる食生活の場面で使っていただけるよう、ガゴメを食べやすい大きさ・形状に変えるのみの最小限の加工にとどめました。
精肉にもロースやバラといった区分があるように、海藻にも部位別に食感や成分の構成が異なります。こうした生物的特徴をしっかりと商品にも反映させたいと考えて企画・商品化したものが、わたしたちのリリースした第1号商品「HAKODATE
GAGOME」です。この商品をきっかけとして、使いやすい粒度の粉末、程好くとろみを楽しむ荒挽きや細切りなどをベースに商品化を進めてきました。
また、昆布=伝統食といったイメージにとらわれることなく、紅茶やハーブのようなイメージで海藻を広い年代層に楽しんでもらえるような商品をお届けしていきたいとも考えており、現在も約10種類の海藻を対象に商品化に向けて取組んでいるところです。同時に、海藻商品を販売するだけではなく、日本人の食生活に身近な存在であるだけに、我々が忘れがちだった海藻の魅力についても積極的に発信していきたいとも考えております。
素材同様、産地へのこだわりも大切に…
わたしたちは、フィールドでの調査研究に携わる中で、函館市の中でも、特に椴法華地区(旧椴法華村)、根崎地区の海や海藻には人知れぬ思いがあり、漁師さんや地元の方々の協力のもと、海藻商品の企画・商品化を行っています。
わたしたちが取り扱うガゴメは、「いつ」・「だれ」が採って、「どのように」仕立てものなのか、はっきりと知ることができます。こうした、産地の履歴がしっかりしていることに加えて、わたしたちが大切にしたいと考えているのは、産地へのこだわりです。
私たちがお届けする海藻と自然塩のブレンド『海乃香藻(ウミノハーブ)』を例とすると、せっかく良質の海藻を使っても、ブレンドする塩の選択があいまいなものであると、海藻の良さが十分に引き出せないと考え、同じ海(産地)の組合せにこだわりました。
椴法華の海藻には、椴法華の海水から焚いた自然塩を、根崎の海藻には根崎の海水から焚いた自然塩を…というように、同じ産地(海)にこだわって作り上げたブレンドは、まさしくその土地の海そのもの。スローフードの考え方を説明する際によく使われる「身土不二」という言葉にあるように、四方四里(16km四方)のものを組合わせて食するという考え方は、海にとっても同じことだと考えます。